アイスクリームのラムレーズン
以前とある海辺の観光地で大好物のラムレーズンアイスクリームを大盛にしてもらって自由の女神のトーチよろしく右手で持って歩いていたら背後から滑空してきたカモメが右肩すれすれに飛び過ぎたので驚いてアイスクリームを見たら嘴の痕が深々と残っていた、ということがありました。信じがたいことですが、おそらく奴はラムレーズンをピンポイントで啄んだのでしょう。・・・あくまで仮説ですが。
ところで、CMの中でクラッシック音楽の1フレーズやそのメロディラインのアレンジなどが使われることがよくありますね。その曲の中でも一番有名なサビの部分が選ばれやすい。小説でも一節だけが切り取られて言葉の断片として使われることがあります。言葉は切り取った部分が短いほど多義的になり、上手く使えば効果も大きい反面、原文の意図からは離れてしまうことも。
著作権等の権利の問題さえクリアしていれば、優れたメロディやフレーズは蓄えられ繰り返し使われることによって広く末永く行き渡る方がいい。特にせわしない今は、例えば交響曲1曲を30分以上かけて4楽章全部聴く気にはならず、プロがそのエッセンスだけを切り出して現代風にアレンジしてくれた方が親しみやすい。けれどそこからは原曲の全体的な構想はどうしても抜け落ちてしまいます。小説もしかり。サビの一句は切り出してそれだけを眺めるとしばしばクサいけれど、本来はその一句を生かすための下準備の文脈があり、本来は小説全体のなかの一節として生きるように書かれたものだろうと思います。
スポーツニュースのダイジェストで各チームのフォワード達によるゴール集を見るのとサッカーという競技全体を楽しむのとは少し違う。ラムレーズンだけを取り出してぱくぱく摘み食いするのと時間をかけてゆっくりと食事しアイスクリームまで味わうのとは別。どちらが良いというわけではなく、その両方があることを知る余裕だけは持っていたいと思うわけですよ、カモメ君。


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